LIFEフィードバックを活用するには?現状における課題と有効的活用方法を紹介

コラム

令和3年6月より、介護事業所に対して、LIFEフィードバックデータの提供が開始しました。令和4年1月時点で、フィードバックの内容は、全国の介護事業所が提出した数値を集計したものとなっています。
そうした暫定的なフィードバックをどのように活用すれば良いのか、管理者としては悩みますよね。そこで今回は、LIFEフィードバックの現状を解説した上で、現時点におけるフィードバックの活用方法について、お伝えします。

LIFEフィードバックの現状

令和3年11月に、厚生労働省老健局は、全国厚生労働関係部局長会議の内容を動画サイトにアップしました。本動画内で、土生老健局長は、科学的介護情報システム(以下、LIFE)の現状を次のように説明しています。

LIFEにつきましては、令和3年度より運用を開始し、令和3年度介護報酬改定において、LIFEの活用を要件とする加算を創設いたしました。現在、全国集計値のみのフィードバックとなっておりますが、データの集積にともない、今後、事業所単位、さらに利用者単位のフィードバックを順次おこなっていく予定です。
(参照元 厚生労働省|全国厚生労働関係部局長会議資料

 

例えば、要介護度や年齢階級別の内訳・日常生活自立度の件数など。LIFEフィードバックは、全国の介護事業所が登録した情報を集計するに留まっているのが現状です。
現時点のフィードバックは、他の事業所の運営状況を見たり、利用者の内訳を比較したりすることができますが、個々の利用者に対して、科学的介護をおこなえる内容には至っていません。

LIFEフィードバックの現状

現状のLIFEフィードバックを有効活用するには?

現時点でLIFEフィードバックを有効活用するには、各介護事業所が独自でデータを分析・解釈し、事業所運営に反映させていく必要があります。ここからは、フィードバックを事業所運営に活用する方法を紹介します。

方向性を見定める、差別化を図る

LIFEフィードバックで提供されたデータを見ると、全国の介護事業所がターゲットとしている平均的な利用者層がわかります。介護事業所として、今後の方向性が定まっていないのであれば、フィードバックの内容が活用できます。
例えば、LIFEフィードバックでは、「障害高齢者の日常生活自立度」のランクA(準寝たきり)の該当者が目立つ傾向にありますが、自身の事業所では、ランクB・C(寝たきり)の利用者が多いということであれば、要介護度が高い方が求めるサービスをより充実させていくと良いでしょう。
どのような層が事業所を利用しているのか?全国の集計値と比較し、事業所の傾向や特徴が把握できれば、他の介護事業所との差別化も図ることができます。

事務所の方向性を見定めたり、他の介護児証書と差別化を図ったりする。

ケア改善の足掛かりにする

利用者の生活能力維持・向上のためには、LIFEフィードバックのADL割合が有効です。こちらは、バーサルインデックス(Barthel Index)というADLの評価指標をもとに入力された項目です。どの項目も、主に、「自立」「一部介助」「全介助」から構成されます。
ADL割合には食事や整容・トイレ動作・入浴・平地歩行といった項目がありますが、全国の集計値と比較してみて、事業所の数値が著しく低い項目は、ケア改善の必要性が高い項目と言えるでしょう。
例えば、トイレ動作は、全国の集計値でみると自立度が高い項目です。仮に、自身の事業所でトイレ動作に介助が必要な利用者が多いのであれば、普段の介助方法や活動量を改善する必要があるのかもしれません。
このように、ケアのどの部分に改善の余地があるのか知るためにも、LIFEフィードバックが活用できます。

全国の集計値を著しく下回る項目は、ケアの改善が必要と考えられる。

家族への説明に用いる

利用者のデータと全国の集計値を比較し、家族への説明に用いるのも、LIFEフィードバックを活用する方法のひとつです。
家族からすれば、本人の生活能力が一般的な数値と大きく乖離していないか気になるものです。全国の集計値を上まわる項目は生活能力が維持できている本人の強みとして、下まわる項目は手厚いケアが必要な改善点として説明を受ければ、利用者の現状を理解し、家族も事業所のサービスに安心できるでしょう。

集計値を上回る項目は本人の強みとして、下回る項目は改善点として説明する。

事業所の運営状況に合わせて、フィードバックを活用する

将来的に、LIFEは、利用者単位のフィードバックをおこなっていく予定です。そのためには、各介護事業所による継続したデータ入力・提供が必要になります。
しかしながら、LIFEに関わる業務全般が現場職員の負担になっている、という介護事業者からの声も少なくありません。現場職員が時間と労力を費やしたのであれば、管理者として、できる限りフィードバックを有効活用したいものです。
事業所の運営や業務を改善するために、今回ご紹介した方法を試してはいかがでしょうか。