ADL維持等加算とは、要介護高齢者の自立支援・重度化防止を目的に、平成30年に新設された介護報酬です。令和3年度の介護報酬改定では加算内容が見直され、対象施設が拡充したり、単位数が大幅に修正されたりしました。
管理者のなかには、新たにADL維持等加算の取得を検討している方もいるでしょう。どのような条件を満たせば加算が算定できるのか?今回は、ADL維持等加算の単位数や対象・算定要件を解説するとともに、算定に必要な手続きについてお伝えします。
はじめに、ADL維持等加算の概要を理解するために単位数や対象・算定要件を紹介します。
1. 2以外の者 | ADL値が0以上25以下 | 1 |
ADL値が30以上50以下 | 1 | ADL値が55以上75以下 | 2 |
ADL値が80以上100以下 | 3 | |
2. 評価対象利用開始月において、初回の要介護認定(法第 27条第1項に規定する要介護認定をいう。)があった月か ら起算して12月以内である者 |
ADL値が0以上25以下 | 0 |
ADL値が30以上50以下 | 0 | |
ADL値が55以上75以下 | 1 | |
ADL値が80以上100以下 | 2 |
例えば、初回の要介護認定を10ヶ月前に受け、現在デイサービスを利用しているAさんがいたとしましょう。Aさんの評価開始月のBIは60/100点、評価開始7ヶ月目(利用開始月の翌月から起算して6月目)のBIは70/100点です。この場合、ADL利得は次のようになります。
70点-60点+1点=11点(ADL利得)
ADL維持等加算の対象となっている施設で、利用者総数が10人以上、上位・下位1割を除いたADL利得の平均値が1を上まわれば、ADL維持等加算(Ⅰ)の算定が可能です。さらに、ADL利得の平均値が2を上まわれば、ADL維持等加算(Ⅱ)の算定ができるようになります。
新規でADL維持等加算を取得するには、ADL維持等加算を算定使用とする月の前月15日までに、都道府県・市町村に「ADL維持等加算に係る届出書」を提出する必要があります。都道府県・市町村が本届出書を確認し、算定要件を満たしていると認められると、ADL維持等加算を算定することができるようになります。
ADL維持等加算の取得ができるようになると、都道府県・市町村から加算対象施設であることが居宅介護支援事業所や住民に周知されるため、生活支援に力を入れている介護施設として外部にアピールすることにもつながります。
利用者が充実した生活を送るには、現状の生活能力をできる限り維持・向上することが大切です。自分でできることが少なくなれば、介護量が増えるほか、自立心や自尊心を失ってしまうことにも繋がりません。言い換えれば、ADLの維持・向上に貢献できれば、利用者やご家族から良い介護施設として評価を受けることができるでしょう。
ADL支援に力を入れる介護施設を目指すなら、ADL維持等加算の取得を検討してみてはいかがでしょうか。