【実例】デイサービスのICT活用|月262時間の業務時間削減に成功した事業所の取り組みを紹介

お役立ち情報

介護施設のICT化が推進される昨今。現場の業務改善を目的に、ICTの導入を検討する管理者もいるでしょう。介護従事者向けのメディアや講習会等でも、業務改善のためのICT活用が謳われています。
しかしながら、ICTが業務改善にどのくらいの効果があったのか、実例を知る機会は多くありません。実際の効果がわからず、ICTの導入を躊躇されている方もいるでしょう。
弊社は、2022年3月に愛知県一宮市にあったデイサービスを事業譲受し、業務のICT化を図ってきました。その結果、事業譲受した前に比べ、毎月の業務時間を262時間削減することに成功しました。
そこで今回は、弊社がデイサービスのICT化を進めた経緯を紹介するとともに、業務改善した内容やその効果についてお伝えします。

事業譲受後、デイサービスの運営をICT化

2022年3月、弊社は、愛知県一宮市にあったデイサービス「アクティブいつき里小牧」を医療法人いつき会から事業譲受しました。事業譲受後、デイサービス業務を見直し。もともとエクセルで管理していた業務全般のICT化を推進。これは、ICTで業務を効率化すれば、現場の介護職員が利用者様のケア業務に集中できると考えたからです。
また弊社は、自社で介護ソフトや健康管理システムを開発しており、自社サービスを軸にデイサービスのICT化を図りました。そして、2022年4月に「アクティブいつき里小牧」を「ベストリハいつき里小牧」に名称変更し、新たなデイサービスの運営を開始しました。

業務改善に導入したICT

利用者情報や各種計画書など、デイサービス事業者が管理・運用しなければならない業務は非常に多いです。そうした業務について、弊社では、エクセルから主に4つのICTツールに管理・運用方法を移行しました。つづいては、弊社が活用したICTツールを紹介します。

1.介護ソフト

「ベストリハいつき里小牧」では、各種計画書・記録の作成に介護ソフトを導入しました。導入した介護ソフトは、自社で開発している「はやまる」です。
「はやまる」は、通所介護計画書や個別機能訓練計画書をはじめ、デイサービスで必要となる計画書に関して約7割を自動生成。個別機能訓練や運動器機能向上訓練などの記録もチェック形式でおこなえます。また、利用者情報を入力すれば運動プログラムを提案してくれ、介護職員が機能訓練・体操の内容を計画立案する手間を省けるのも特長です。
「ベストリハいつき里小牧」では、計画書の作成・記録・運動プログラムの計画立案業務の効率化を図るため、介護ソフトにはやまるを選択しました。

「はやまる」で管理・運用している業務・書類には、次のものがあります。

利用者ニーズの調査・把握、介護記録、通所介護計画書、利用者基本情報、介護サービス計画書(ケアプラン)、サービス担当者会議の要点、介護保険証、介護保険負担割合証、後期高齢者医療費保険者証、個別機能訓練計画書、個別機能訓練の実施記録、運動器機能向上計画書、運動器機能向上に関するアセスメント表、運動器機能向上サービスの実施記録

2.健康管理アプリ
利用者のバイタルや生活状況(デイサービスにおける食事・排泄状況等)のチェックには、データで一括管理するため、健康管理アプリを導入しました。導入した健康管理アプリは、自社で開発している「ヘルプケア」です。「ヘルプケア」は、バイタル・食事・排泄・入浴をはじめ、利用者の健康状態・通所状況を網羅的に管理できます。特に、時間がかかりがちな入浴のスケジュール調整や昼食・服薬状況のチェックがしやすいことから、業務改善を図るツールとして導入しました。

3.データベース

診断書や看護サマリーなど、利用者の増加に伴いデータ数が蓄積する書類に関しては、情報をデータベース化しました。
「ベストリハいつき里小牧」には、介護職員や看護師・機能訓練指導員・生活相談員といった多様な専門職が数多く所属。部署や職種を問わず、大量のデータを同時に活用・編集できたほうが業務の効率化が図れると考え、主に共有の書類をデータベース化しました。

データベース化した書類には、次のものがあります。

お薬手帳、看護・介護連携シート、診断書、リハビリテーションサマリー、看護サマリー、食事箋

4.勤怠管理システム

職員のシフト管理には、ウェブ・アプリ打刻機能付きの勤怠管理システムを導入しました。これにより、外出中の打刻が可能に。ほかにも、有給や時間外勤務等の申請集計機能が付いており、職員の勤怠管理がしやすいようにシステムを整備しました。
勤怠管理システムを選ぶのに重要視したのは、介護職員の複雑なシフト勤務に対応できる機能が備わっていることです。「ベストリハいつき里小牧」には、フルタイム正社員・短時間正社員・パートタイム等、さまざまな雇用形態の職員が勤務しています。どのような雇用形態の職員がいても、現場責任者がスムーズにシフトを組むことができるように、シフトを自動生成できる勤怠管理システムを選びました。

以上の4つが、「ベストリハいつき里小牧」に導入したICTツールです。
各ICTツールの運用に伴い、職員の人数に応じてタブレット端末・パソコン・スマートフォンの台数を揃え、それぞれ介護ソフトやアプリをインストール・ダウンロードしました。また、「ベストリハいつき里小牧」の運営開始前後には、ICT担当者が勉強会を開催したり、現場責任者が教育したりして、職員が介護ソフトやアプリを適切に使用できるように取り組みました。

月262時間の業務時間削減に成功

2022年4月1日に、新たな体制でデイサービスの運用を開始するに伴い、各業務にかかる時間を計測しました。その結果、デイサービスの管理・運営をICT化した「ベストリハいつき里小牧」では、従来の体制に比べて毎月262時間分の業務時間が削減できたことがわかりました。
もっとも時間を削減できた業務は「シフト管理」で65時間(3,900分)/月、次いで「入浴チェック(入浴前バイタル確認・記録、入浴時間の調整、入浴順管理表の作成)」が52時間(3,120分)/月、「昼食チェック(食事状況の確認・記録)」「投薬チェック(投薬状況の確認・記録)」が各13.5時間(810分)/月、「利用者スケジュール調整」が13時間(780分)/月となっています。

※自社調査結果に基づく
※従来・ICT導入後ともに、1ヵ月の稼働日数は26日。

職員の勤怠や利用者のスケジュールは、従来であれば管理者が手動でおこなっており、毎月の予定を組むのに膨大な時間がかかっていました。しかしながら、ICT導入後は、ほとんど時間をかけずに予定を組むことができるようになりました。これは、健康管理アプリや勤怠管理システムを活用することで、予定を自動生成できることが大きかったです。業務時間が大幅に短縮できたことにより、管理者や現場責任者が職員に介護方法を教育したり、職員の実務をサポートしたりする時間を確保できるようになりました。

また、入浴や昼食・服薬等、デイサービスにおける利用者の生活状況を確認する業務は、従来であれば、介護職員が実施の有無を確認していたのですが。確認の漏れや重複があり、時間がかかる業務のひとつでした。こちらもICT導入後は、確認業務にほとんど時間がかからなくなりました。これは、健康管理アプリを活用したことで、入浴や昼食・服薬等の実施状況をタブレット上で一括にチェックできるようになったためです。各介護職員がアプリに実施状況を入力することで、確認の漏れや重複がなくなり、スムーズに業務を遂行できるようになったのです。

上記のほかにも、各種計画書の作成や介護日誌といった書類業務、送迎表の作成などの管理業務について、毎月数時間~数十時間の削減することができました。特に、計画書の作成や介護日誌は、介護ソフトを活用することで、内容をチェック形式で入力できたり自動生成したりできるようになったことが、業務時間の短縮に繋がった大きな要因であったと考えられます。実際に、現場の介護職員からは、「以前は同じような内容も手入力していたが、選択肢を選ぶだけで入力できるようになって楽になった」という声を聞いています。

システムを切り換えるためには時間が必要

今回、事業譲受後にシステムをICT化し、デイサービスの運用を開始するにあたり6名のメンバーで準備を進めました。デイサービスの運用開始前月にあたる3月の毎週火曜日に、各メンバーの業務終了後にミーティングを実施。メンバー全員の残業時間の合計は、60時間以上でした。
近年、デイサービスのICT化が推進されていますが、システムを変更するとなれば、それに応じた時間が必要です。変更規模が大きくなれば、時間や予算も増えていきます。
しかしながら、一端システムを変更し業務の効率化が実現できれば、その後は、現場の職員の業務時間や業務負担を大幅に削減することができるでしょう。

事業所にマッチしたICT導入で効率と働きやすさを

2025年には高齢者人口が3,500万を超えると予想され、将来的にも、介護現場の人材確保が問題となっています。介護労働安定センター「介護労働実態調査(令和2年度)」では、有効回答が得られた9,244の事業所のうち、約6割の事業所で人材不足を感じている状況です。
適切なデイサービスの運営のために新たな人材を確保するのもひとつですが、それが難しいこともあるでしょう。であれば、積極的なICT導入・活用をおすすめします。業務の効率化が図れれば、その分、ケアを充実させたり、職員の働きやすい環境をつくったりできるでしょう。

介護ソフト・アプリはベストリハにお任せ


弊社では、デイサービスの業務を支援するICTとして、介護ソフトの「はやまる」「はやまる送迎」、介護アプリの「ヘルプケア」を販売しています。これまで500以上の介護事業所に導入。各事業所の管理者・職員様からは、「業務の進捗管理が楽になった」「書類の作成効率があがった」といった声をいただいております。
いずれの介護ソフト・アプリも、お問い合わせいただければ無料トライアルやデモ実演に対応しております。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。