職員の急な欠勤。デイサービスの管理者としては、人員補充に悩むものです。看護師や介護職員の人員基準を満たせないと減算(人員基準欠如減算)になりますし、必要な専門職がいなければ適切なサービスを提供することが困難です。
欠勤があった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?ここでは、人員基準欠如減算の要件を説明するとともに、デイサービス職員が欠勤した際の対応策についてお伝えします。
デイサービスの人員基準
デイサービスには、通所介護サービスを提供するための人員基準が設けられています。これは、利用者が可能な限り能力を発揮し、自立した生活ができるように、必要なケアや機能訓練を提供することが求められるからです。
以下は、デイサービスの人員基準です。
生活相談員 | 事業所ごとにサービス提供時間に応じて専従で1以上(常勤換算方式)
(生活相談員の勤務時間数としてサービス担当者会議、地域ケア会議等も含めることが可能。) |
看護職員(※) | 単位ごとに専従で1以上
(通所介護の提供時間帯を通じて専従する必要はなく、訪問看護ステーション等との連携も可能。) |
介護職員(※) | ① 単位ごとにサービス提供時間に応じて専従で次の数以上(常勤換算方式)
ア 利用者の数が15人まで 1以上 イ 利用者の数が15人を超す場合 アの数の利用者の数が1増すごとに0.2を加えた数以上 ② 単位ごとに常時1名配置されること ③ ①の数および②の条件を満たす場合は、当該事業所の他の単位における介護職員として従事することができる |
機能訓練指導員 | 1以上 |
生活相談員又は介護職員のうち1人以上は常勤 |
※定員10名以下の地域密着型通所介護事業所の場合は看護職員又は介護職員のいずれか1名の配置で可(常勤換算方式)
(参照元 社保審–介護給付費分科会|通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護)
市町村から介護報酬(介護給付費)を受け取るには、上記の人員基準を適切に満たす必要があります。
人員基準欠如減算とは?
介護サービスでは、国が定めた人員基準を満たさないと基本報酬が減算となります(人員基準欠如減算)。デイサービスでは、看護師・介護職員の人数が人員基準欠如減算の対象です。
厚生労働省の告示(厚生省告示第二十七号)によれば、デイサービスで看護師・介護職員の人員基準が満たせない場合、介護給付費の所定単位数に100分の70を掛けた単位数を算定する(基本報酬の70%分が算定できる、30%分が減算される)ことになっています。
“人員基準欠如に該当する場合の所定単位数の算定について
ロ 看護職員及び介護職員の配置数については、
ⅰ)人員基準上必要とされる員数から1割を超えて減少した場合にはその翌月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで、単位ごとに利用者の全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って減算する。
ⅱ)1割の範囲内で減少した場合には、その翌々月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで、単位ごとに利用者等の全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って減算される(ただし、翌月の末日において人員基準を満たすに至っている場合を除く。)。
生活相談員・機能訓練指導員の人員基準を満たしていない場合は、指導・監査の対象になる
生活相談員・機能訓練指導員は人員基準欠如減算の対象になりませんが、人員基準を満たしていない場合は人員基準違反として指導の対象となり、著しい違反が疑われる場合は、監査に移行するケースもあります。
人員基準を満たせないと適切なケアを行うことが困難になりますし、何らかのペナルティが発生する可能性があるため注意が必要です。
デイサービス職員が欠勤した場合の対応策
適切なサービスを提供するのはもちろん、減算や指導を防ぐには、欠勤があった場合にも人員基準をしっかりと満たすことが大切です。
ここからは、デイサービス職員が欠勤した際の対応策を紹介します。
看護師・介護職員
看護師・介護職員が欠勤した場合は、法人内の施設から同じ有資格者にサポートで来てもらうのが一般的です。派遣元の病院や介護施設で専従者として登録されていなければ、デイサービスの看護師・介護職員として臨時に勤務することが可能です。
また、サポートの人材が確保できないのであれば、休日予定の看護師・介護職員にシフト変更を依頼する方法もあります。ただし、急なシフト変更は職員の予定が狂うことになるので、お互いの信頼関係を崩さないよう慎重な対応が必要です。
生活相談員・機能訓練指導員
生活相談員・機能訓練指導員が欠勤した場合も、法人内の施設からサポートに来てもらうのが一般的です。
生活相談員は、管理者が兼務することが可能です。管理者には「管理上支障がない場合には一定の範囲で他の職務に従事すること(兼務)」が認められています。ただし、管理者の兼務の可否については地域により解釈が異なるため、兼務を検討する場合は管轄の自治体に確認しましょう。
また、機能訓練指導員は、看護師や理学療法士・作業療法士などのリハビリ専門職でなければ人員基準を満たすことができませんが、機能訓練の補助であれば、介護職員や管理者などが行うこともできます。例えば、トレーニングマシーンの乗り降りや訓練場所への誘導など、普段よりも機能訓練指導員の人数が少ない時には、他職種が機能訓練の補助をし、協力し合うことも必要です。
適切なサービスが提供できるよう欠勤に備えた体制づくりを
予期せぬ欠勤があると、現場の職員としても人員が不足し業務が回らなくなるものです。管理者としては、可能な限りいつも通りのケアが提供できるよう、普段から欠勤に備えた体制づくりを整えることが大切です。
ケアの質向上と現場の働きやすさのために
デイサービス業界では、利用者の自立支援・重度化防止を目指した質の高いサービス提供とともに、人材の確保・生産性の向上といった課題が山積しています。事業者には、利用者にも介護従事者にも選ばれるより良い環境づくりが求められています。
しかしながら、デイサービスの業務は、日々の記録から利用者へのケア・送迎など業務量が多く、煩雑です。また、3年ごとに介護保険制度が改定されるため、それに合わせて体制を変えていく必要もあります。利用者やスタッフのために環境を整えたくても、課題が多く悩まれている方も多いのではないでしょうか。
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プロフィール
田口 昇平 作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級/取材ライター 作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や介護施設などに勤務。 2018年よりフリーライターに転身。医療介護従事者への取材をしながら、現場の業務改善や労働環境づくりなど幅広いテーマで執筆。 |