【デイサービス向け】個別機能訓練加算とは?算定要件から必要な手続きまでを紹介

お役立ち情報コラム

令和3年度の介護報酬改定では、個別機能訓練加算の単位数・算定要件が変更されました。今後は、利用者の自立支援・重度化防止を目的としたサービス提供がより一層求められます。デイサービス管理者からすると、個別機能訓練加算を算定すれば、さらなるサービスの充実と事業所の売上アップが図れます。
ここでは、個別機能訓練加算の単位数や算定要件を説明するとともに、算定する流れ・手続きについてお伝えします。

デイサービスの個別機能訓練加算とは?

デイサービスは、利用者が可能な限り自宅で自立した生活を送れるよう、さまざまな介護サービスを提供する施設です。
個別機能訓練加算は、利用者に対し、機能訓練を積極的に行うことで生活機能の維持・改善を図ることを目的とした加算です。令和3年度の介護報酬改定では、より多くの報酬が加算される内容に変更され、利用者の生活機能の維持・改善に一定の効果を発揮しています。
厚生労働省がまとめた「通所介護等の今後のあり方に関する調査研究事業 報告書(平成28年度)」では、個別機能訓練加算(Ⅰ)・(Ⅱ)のいずれかを算定し、かつリハビリ専門職(PT・OT・STのいずれか)の配置していた事業所は、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の維持・改善の比率が高いことが報告されています。

(参照元 厚生労働省|通所介護等の今後のあり方に関する調査研究事業 報告書(平成28年度)

機能訓練指導員とは?

機能訓練指導員は、利用者が日常生活を送るのに必要な機能の低下を防止するために、機能訓練の指導・実施を行う専門職です。介護保険法では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・一定の実務経験を有する鍼灸師が、機能訓練指導員の対象資格となっています。デイサービスでは、理学療法士・作業療法士が機能訓練指導員として働いているケースが多いです。

個別機能訓練加算の単位数・算定要件

個別機能訓練加算には(Ⅰ)イ・ロと(Ⅱ)があり、それぞれ単位数・算定要件が異なります。

個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロ

個別機能訓練加算(Ⅰ)は、デイサービスに機能訓練指導員を配置し、利用者の生活状況を確認するとともに個別機能訓練の計画作成・実施することで算定できます。個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロの違いは、機能訓練指導員の配置数です。

 

  (Ⅰ)イ (Ⅰ)ロ
単位数 56単位/日 85単位/日
ニーズ把握・情報収集 通所介護・地域密着型通所介護事業所の機能訓練指導員等が、利用者の居宅を訪問し、ニーズを把握するとともに、居宅での生活状況を確認。
機能訓練指導員の配置 専従1名以上配置 (配置時間の定めなし) 専従1名以上配置 (サービス提供時間帯通じて配置)
※人員基準欠如減算・定員超過減算を算定している場合は、個別機能訓練加算を算定しない。

※(Ⅰ)イは運営基準上配置を求めている機能訓練指導員により満たすこととして差し支えない。

※(Ⅰ)ロは、(Ⅰ)イに加えて専従で機能訓練指導員を1名以上配置する。

計画作成 居宅訪問で把握したニーズと居宅での生活状況を参考に、多職種共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成。
機能訓練項目 利用者の心身の状況に応じて、身体機能及び生活機能の向上を目的とする機能訓練項目を柔軟に設定。 訓練項目は複数種類準備し、その選択に当たっては利用者の生活意欲が増進されるよう利用者を援助する。
訓練の対象者 5人程度以下の小集団又は個別
訓練の実施者 機能訓練指導員が直接実施(介護職員等が訓練の補助を行うことは妨げない)
進捗状況の評価 3ヶ月に1回以上実施し、利用者の居宅を訪問した上で、居宅での生活状況を確認するとともに、当該利用者又はその家族に対して個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し、必要に応じて個別機能訓練計画の見直し等を行う。

 
※個別機能訓練加算(Ⅰ)イは、具体的な配置時間の定めはないが、個別機能訓練計画策定に要する時間・訓練時間・効果を評価する時間等を踏まえて配置すること。
※機能訓練指導員は専従で配置する必要があるが、常勤・非常勤は問わない。
※個別機能訓練加算(Ⅰ)ロについては、機能訓練指導員を1名しか確保できない日がある場合、その日は個別機能訓練加算(Ⅰ)ロに代えて個別機能訓練加算(Ⅰ)イを算定して差し支えない。ただし、営業日ごとに機能訓練指導員の配置体制に違いがあることを、利用者にあらかじめ説明しておく必要がある。
※管理者は、デイサービス事業所の管理上支障のない場合、管理者としての職務に加えて、機能訓練指導員の職務に従事することが可能である。

(参照元 厚生労働省老健局|令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)(令和3年3月 26 日)

 

個別機能訓練加算(Ⅱ)

個別機能訓練加算(Ⅱ)は、(Ⅰ)の算定要件に加えて、個別機能訓練計画等の内容をLIFEへデータ提出するとともに、フィードバックを活用することで算定できます。なお、個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は、併算定することが可能です。

単位数 20単位/月 個別機能訓練加算()に上乗せして算定
算定要件 加算(Ⅰ)に加えて、個別機能訓練計画等の内容を厚生労働省に提出し、フィードバックを受けていること(LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用)

個別機能訓練加算を算定する流れ・手続き

新たに個別機能訓練加算を算定する場合は、どのように進めれば良いのか。ここからは、個別機能訓練加算を算定する流れ・手続きを紹介します。

 

①職員体制を構築する

個別機能訓練加算を算定するには、まずは機能訓練指導員の配置(最低1名)が必要です。また、個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定する時は、LIFEへのデータ送信とフィードバックの活用ができるよう、専用ページからLIFEの利用申請をします。

 

②必要書類を提出する
職員体制を構築したら、管轄の自治体に必要書類を提出します。必要書類には、以下のようなものがあります。

<例:東京都の場合>
・加算届
・加算適用開始月の「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」
・機能訓練指導員の資格証 ※個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定する場合は、(Ⅰ)イ又は加算(Ⅰ)ロの要件を満たした上で、LIFEにより利用者ごとの個別機能訓練計画書の内容等の情報を厚生労働省に提出し、機能訓練の実施に当たって、当該情報その他機能訓練の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していることが必要です。
個別機能訓練加算を算定するための必要書類は、自治体ごとに内容が異なります。詳細は、管轄の自治体のホームページを確認してください。

 

③利用者・家族・ケアマネジャーに説明する
個別機能訓練加算を算定する前に、利用者・家族・ケアマネジャーに対して、加算の目的や効果などを説明します。利用者・家族としてはデイサービスの利用料負担があがりますし、機能訓練の強化でどのようなメリットがあるのか、丁寧に説明することが大切です。

 

④アセスメント(評価)を実施する
個別機能訓練計画書を作成するにあたり、利用者の身体状況や生活状況、今後の生活に対するニーズなどを確認します。アセスメントは、機能訓練指導員をはじめデイサービスの職員がサービス担当者会議に参加したり、ケアマネジャーと連携を図ったりすると多面的に情報集でき、効果的な目標設定・計画作成が行えます。

 

⑤個別機能訓練計画を作成し、説明する
アセスメントをもとに、機能訓練指導員を中心に多職種で共同しながら個別機能訓練計画を作成します。個別機能訓練計画では利用者の長期目標・短期目標を設定しますが、可能な限り具体的な内容にしましょう。例えば、長期目標を「近所のスーパーで買い物ができる」、短期目標を「荷物を持って15分間の屋外歩行ができる」「玄関の上がりかまちを一人で上り下りできる」「困った時に店員や周囲の人に援助を求められる」といったように。内容を具体的に設定すると、利用者としても目指すところがわかりやすいですし、明確な効果判定が可能です。
個別機能訓練計画を作成したら、利用者・家族に説明し同意を得ます。その後、ケアマネジャーに報告します。

 

⑥機能訓練を実施する
個別機能訓練は、個別または5人程度以下の小グループで行います。訓練自体は機能訓練指導員が直接行う必要がありますが、訓練場所への誘導など、訓練の補助は他の介護職員でも可能です。個別機能訓練の実施は、週1回以上が目安です。

 

⑦モニタリング、進捗状況の評価を実施する
3ヵ月ごとに1回以上の頻度で、機能訓練の効果や利用者の変化などを踏まえ、個別機能訓練計画を見直します。必要に応じて目標設定や訓練プログラムを変更します。

以上が、個別機能訓練加算を算定する一連の流れ・手続きです。

 

活動の量と質を向上し、効果的な自立支援・重度化防止を

身体機能や精神機能を維持・向上するには、日々の活動量が大切です。また、利用者が抱える問題をしっかりと評価し、適切な訓練を提供できれば、利用者・家族の希望に応えられるより良いデイサービスがつくれるでしょう。
事業所のサービス充実や売上アップを考えているのであれば、個別機能訓練加算の算定を検討してみてはいかがでしょうか。

ケアの質向上と現場の働きやすさのために

デイサービス業界では、利用者の自立支援・重度化防止を目指した質の高いサービス提供とともに、人材の確保・生産性の向上といった課題が山積しています。事業者には、利用者にも介護従事者にも選ばれるより良い環境づくりが求められています。
しかしながら、デイサービスの業務は、日々の記録から利用者へのケア・送迎など業務量が多く、煩雑です。また、3年ごとに介護保険制度が改定されるため、それに合わせて体制を変えていく必要もあります。利用者やスタッフのために環境を整えたくても、課題が多く悩まれている方も多いのではないでしょうか。
弊社では、デイサービス向けに介護ソフト「はやまる」を提供しています。介護保険請求に加え、日々の記録・計画書作成・連絡帳・送迎管理・勤怠管理・売上予測管理など、デイサービスの業務全般をカバーする機能を搭載しています。「はやまる」を導入することで、デイサービスの業務全般を効率化でき、日々のケアに集中しやすくなるとともに、現場の働きやすさを向上することが可能です。
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プロフィール

田口 昇平

作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級/取材ライター

作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や介護施設などに勤務。

2018年よりフリーライターに転身。医療介護従事者への取材をしながら、現場の業務改善や労働環境づくりなど幅広いテーマで執筆。