科学的介護推進体制加算を算定するには、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出が必要です。デイサービスでは、どの項目をデータ提出すれば良いのでしょうか?また、今後の提出頻度について、気になる管理者もいるでしょう。
ここでは、科学的介護推進体制加算を算定するために必要なLIFE提出項目と、LIFEへの提出頻度についてお伝えします。
LIFEへのデータ提出方法
LIFEへデータを提出するには、「①公式サイトの入力フォームから登録する方法」と「②介護ソフト等で作成したCSVファイルを取り込む方法」の2つがあります。まずは、2種類のデータ提出方法を紹介します。
公式サイトの入力フォームから登録する方法
ひとつは、LIFEの公式サイトにアクセスし、入力フォームから利用者情報を登録する方法です。こちらの方法では、以下の6つのステップでLIFEデータの提出が行えます。
①必須項目(必要に応じて任意項目)を入力する
②トップ画面で「様式情報管理」を選択する
③サービス種類を選択する
④ケア記録の様式情報を登録、および介護サービス利用者の利用者IDをクリックする
⑤登録する様式のタブを選択し、「新規登録」ボタンをクリックする
⑥登録する様式の情報を入力し、完了後「登録」ボタンをクリックする
介護ソフト等で作成したCSVファイルを取り込む方法
もうひとつは、介護ソフト等でLIFE提出用のCSVファイルを作成し、公式サイトで情報を取り込む方法です。こちらの方法は、以下の4つのステップでLIFEデータの提出が行えます。
①トップ画面で「外部データ取込」を選択する
②「参照」ボタンをクリックし、LIFE対応の介護ソフト等から出力したCSVファイルを選択する
③「取込」ボタンをクリックする
④様式情報の入力を行う
以上が、LIFEへのデータ提出方法です。厚生労働省が作成したLIFE操作説明書では実際の画面を見ながらデータ提出方法が確認できますので、こちらもチェックしましょう。
LIFEへの提出項目
LIFEへのデータ提出には、「必須項目」「任意項目」があります。デイサービスにおける科学的介護推進体制加算の「必須項目」「任意項目」は、それぞれ以下のようになっています。
必須項目
・障害高齢者の日常生活自立度
・認知症高齢者の日常生活自立度 |
|
基本情報 | ・保険者番号
・被保険者番号 ・事業所番号 ・生年月日 ・性別 |
総論 | ・ADL
└食事 └椅子とベッド間の移乗 └整容 └トイレ動作 └入浴 └平地歩行 └階段昇降 └更衣 └排便コントロール └排尿コントロール) |
口腔・栄養 | ・身長
・体重 ・口腔の健康状態 ・誤嚥性肺炎の発症・既往(※初回の入力時には誤嚥性肺炎の既往、二回目以降の入力時は前回の評価後の誤嚥性肺炎の発症について記載) |
認知症 | ・認知症の診断
・DBD13(認知症行動障害尺度 ※認知症の診断または疑いのある場合に記載) └日常的な物事に関心を示さない └特別な事情がないのに夜中起き出す └特別な根拠もないのに人に言いがかりをつける └やたらに歩きまわる └同じ動作をいつまでも繰り返す ・Vitality Index(意欲の指標) └意思疎通 |
任意項目
総論 | ・既往歴
・服薬情報 ・同居家族等 ・家族等が介護できる時間 ・在宅復帰の有無等 |
口腔・栄養 | ・褥瘡の有無 |
認知症 | ・DBD13(認知症行動障害尺度 ※認知症の診断または疑いのある場合に記載)
└同じ事を何度も何度も聞く └よく物をなくしたり、置き場所を間違えたり、隠したりする └昼間、寝てばかりいる └口汚くののしる └場違いあるいは季節に合わない不適切な服装をする └世話をされるのを拒否する └物を貯め込む └引き出しや箪笥の中身をみんな出してしまう ・Vitality Index(意欲の指標) └起床 └食事 └排せつ └リハビリ |
なお、「必須項目」「任意項目」は、施設系サービスとは内容が異なるので注意しましょう。
LIFEへの提出頻度
LIFEへのデータ提出は、科学的介護推進体制加算を算定した翌月10日までに行います。それ以降は、少なくとも6ヵ月に1回の頻度で科学的介護推進に関する評価を行い、初回と同じように、翌月10日までにデータ提出します。
LIFEへのデータ提出ができなかった場合
科学的介護推進体制加算を算定した翌月10日までにLIFEへのデータ提出ができなかった場合は、直ちに「訪問通所サービス通知第1の5の届出」を提出する必要があります。データ提出が行えない事実が生じた月のサービス提供分から、データ提出が行われた月の前月までの間については、利用者全員について科学的介護推進体制加算を算定できないことになっています。
デイサービスの利用を終了する場合
デイサービスの利用終了者については、サービスの利用を終了月に科学的介護推進に関する評価を行い、翌月10日までにデータ提出します。また、デイサービスの利用を再開する時には、再開月に評価を行い、翌月10日までにLIFEへのデータ提出を行います。
(参照元 厚生労働省老健局|科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について)
データ提出の負担を減らすには介護ソフトの利用も
LIFEへのデータ提出は、1回行うとその後は6ヵ月に1回程度の頻度になります。そのため、提出頻度としては少ないですが、毎回LIFEの公式サイトで利用者数分のデータを入力するのは大変です。いろいろな書類・記録から情報収集し、入力するとなれば膨大な時間がかかってしまうこともあるでしょう。
データ提出の負担を減らすには、介護ソフトの利用がおすすめです。LIFE対応の介護ソフトを活用すれば、日々の業務の中で計画書作成等に必要なデータを入力することで、LIFEへのデータ提出に情報を汎用することが可能です。科学的介護推進体制加算を算定しつつ、現場の業務負担を抑えるには、LIFE対応の介護ソフトを導入すると良いでしょう。
ケアの質向上と現場の働きやすさのために
デイサービス業界では、利用者の自立支援・重度化防止を目指した質の高いサービス提供とともに、人材の確保・生産性の向上といった課題が山積しています。事業者には、利用者にも介護従事者にも選ばれるより良い環境づくりが求められています。
しかしながら、デイサービスの業務は、日々の記録から利用者へのケア・送迎など業務量が多く、煩雑です。また、3年ごとに介護保険制度が改定されるため、それに合わせて体制を変えていく必要もあります。利用者やスタッフのために環境を整えたくても、課題が多く悩まれている方も多いのではないでしょうか。
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プロフィール
田口 昇平 作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級/取材ライター 作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や介護施設などに勤務。 2018年よりフリーライターに転身。医療介護従事者への取材をしながら、現場の業務改善や労働環境づくりなど幅広いテーマで執筆。 |