デイサービスをはじめ、利用者に提供した介護サービスの報酬(介護報酬)を受け取るには、決められた期間内に介護報酬を請求しなければなりません。介護報酬を請求することで、事業者は収入を得ることができるのです。
デイサービスを立ち上げたり、運営間もなかったりすると、介護報酬の請求方法について悩むこともあるでしょう。ここでは、介護報酬の請求方法を説明するとともに、必要な書類や請求の流れについてお伝えします。
介護報酬とは?
介護報酬とは、介護事業者が要介護者・要支援者に何らかの介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われる費用のことです。介護報酬は、提供する介護サービスや利用者の介護度などにより事業者に支払われる金額が変わってきます。
また、介護報酬は、事業所のサービス提供体制や利用者の状況などに応じて、各種加算・減算される仕組みです。デイサービスを例にすると、利用者の自立支援・重度化防止を積極的に行うことで、基本報酬にいろいろな加算がつきます。逆に、サービス内容や実施方法などが不十分な状況にあると減算になります。
(参照元 厚生労働省|介護報酬について、厚生労働省|介護給付費請求書等の記載要領について)
介護報酬を受け取るには「国保連合会」への請求が必須
介護報酬を受け取るには、国民健康保険団体連合会(国保連合会)に請求する必要があります。国保連合会は、市町村から委託を受け、介護報酬の請求に関する審査・支払いを行っています。介護事業者は、国保連合会から支払われる介護報酬と、利用者の自己負担金を受け取ることにより、事業収入が得られるのです。
国保連合会への介護報酬の請求方法は、インターネット経由で行うのが一般的です。介護報酬の請求書類をインターネット経由で伝送し、国保連合会で審査が行われ、問題なければ支払いとなります。
なお、介護報酬の請求期間は毎月1日~10日です。受付最終日を過ぎると、翌月以降の審査・支払いになってしまうので注意が必要です。
介護報酬請求に必要な書類
介護報酬請求の必要書類は、提供する介護サービスにより違ってきます。デイサービスでは、「介護給付費請求書」と「介護給付費明細書」を国保連合会に提出し、介護報酬を請求します。
介護給付費請求書とは、介護事業所が提供した1か月分のサービス費用と特定入所者介護サービス費等の件数・単位数・保険請求額・利用者負担などを記載する書類です。介護給付費請求書には居宅・施設サービス、介護予防サービス、地域密着型サービスなどに対応した様式(様式第一)と、介護予防・日常生活支援総合事業に対応した様式(様式第一の二)があり、自事業所のサービス提供に合わせた様式を使い、介護報酬を請求します。
介護給付費明細書とは、利用者に提供した介護サービスについて、介護保険から支払われる費用(介護給付費)を算定するために、サービス内容などを詳細に記載する書類です。
デイサービス事業者は、「介護給付費請求書」と「介護給付費明細書」の2種類の書類を作成し、国保連合会に介護報酬を請求します。
介護報酬請求の流れ
ここからは、デイサービス事業者向けに介護報酬の請求方法を紹介します。
① 介護給付費請求書・明細書を作成する
まずは、パソコンで介護給付費請求書・明細書を作成します。介護給付費請求書・明細書の様式は、各自治体の国保連合会ホームページからダウンロードできます。
② 介護給付費請求書・明細書を国保連合会に提出する
介護給付費請求書・明細書の作成後、国保連合会にデータを提出します。データの提出先は、専用コーナーが設けられていますので、事業所を管轄する国保連合会ホームページをチェックしましょう。
③ 利用者に自己負担分の請求書を送付する
介護報酬のうち、介護給付費については国保連合会から支払われるのに対し、自己負担分は利用者に直接請求することになります。そのため、介護給付費請求書・明細書とは別に請求書を作成するとともに各利用者に送付し、自己負担分を請求します。
国保連合会からは請求の翌々月に支払いを受ける
介護報酬の請求後、問題がなければ翌々月に国保連合会から介護報酬が支払われます。この時、介護報酬請求書・明細書に不備があると、書類の修正や再提出を求められることがあります(返戻)。
返戻となった場合は、再請求しなければ介護報酬が支払われません。また、書類の修正や再提出の作業自体も、現場のスタッフからすると業務の負担が大きいものです。返戻にならないためにも、介護報酬の請求業務は、余裕を持って正確に行うことが大切です。
請求業務の負担を減らすには介護ソフトの活用も
介護報酬の請求業務は、介護現場ではレセプト業務またはレセプトと呼ばれます。レセプト業務は業務量が多く、作業が煩雑になりがちなので、デイサービスにおいてもスタッフの業務負担を増やす要因のひとつとなっています。言い換えると、レセプト業務を簡略化できると、業務効率が上がり事務作業の効率をアップすることが可能です。
最近では、請求機能を備えた介護ソフトが数多く販売・提供されています。なかには、国保連合会に提出する請求データの作成に加え、データの提出、利用者向けの請求書作成機能を備えたものあります。もちろん、介護ソフトとしてデイサービスで必要な各種計画書作成や日々の記録などの業務にも対応しているので、事業所の事務作業全般を効率化することが可能です。
これからデイサービスを立ち上げたり、事務作業の負担に悩んでいたり管理者の方は、レセプト業務を行う方法として、請求機能を備えた介護ソフトの導入をおすすめします。
ケアの質向上と現場の働きやすさのために
デイサービス業界では、利用者の自立支援・重度化防止を目指した質の高いサービス提供とともに、人材の確保・生産性の向上といった課題が山積しています。事業者には、利用者にも介護従事者にも選ばれるより良い環境づくりが求められています。
しかしながら、デイサービスの業務は、日々の記録から利用者へのケア・送迎など業務量が多く、煩雑です。また、3年ごとに介護保険制度が改定されるため、それに合わせて体制を変えていく必要もあります。利用者やスタッフのために環境を整えたくても、課題が多く悩まれている方も多いのではないでしょうか。
弊社では、デイサービス向けに介護ソフト「はやまる」を提供しています。介護保険請求に加え、日々の記録・計画書作成・連絡帳・送迎管理・勤怠管理・売上予測管理など、デイサービスの業務全般をカバーする機能を搭載しています。「はやまる」を導入することで、デイサービスの業務全般を効率化でき、日々のケアに集中しやすくなるとともに、現場の働きやすさを向上することが可能です。
無料デモ・無料ヒアリングは随時受付中です。ホームページから詳しい資料をダウンロードしていただけますので、ぜひこの機会に導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
プロフィール
田口 昇平 作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級/取材ライター 作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や介護施設などに勤務。 2018年よりフリーライターに転身。医療介護従事者への取材をしながら、現場の業務改善や労働環境づくりなど幅広いテーマで執筆。 |