【デイサービスの看護師配置基準】必要な人数から看護師の役割までを解説!

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デイサービス(通所介護)では、看護師の配置が必要です。デイサービスの看護師は、利用者の健康面を管理したり、ケアやレクリエーション・リハビリをサポートしたりします。
いろいろな役割を担っている一方で、配置基準がわかりにくいのもデイサービスの看護師の特徴です。ここでは、デイサービス管理者に向けて看護師の配置基準を説明するとともに、看護師の役割について紹介します。

デイサービスの看護師配置基準

デイサービスの看護師配置基準は、事業所の利用定員により異なります。
利用定員が10名を超えるデイサービス(通所介護)では、単位ごとに1名以上の看護師配置が義務付けられています。

「看護師または准看護師※1 指定通所介護の単位ごとに、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員が1以上確保されるために必要と認められる数)」
(参照元 e-GOV法令検索|厚生省令第三十七号「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」

利用定員が10名以下の地域密着型デイサービスでは、看護師または介護職員のいずれか1名を配置すればよく、必ずしも看護師を配置する必要はありません。
デイサービスは、利用者の自立支援や重度化防止を目的に、いろいろなサービスが提供されます。そのなかでも、看護師は、利用者の健康面を管理するとともに、機能訓練の補助などの役割を担っています。特に、利用者のケガや急変があった場合には、救急対応に当たる重要な職種です。
管理者としては、利用者が安心してケアを受けたり、リハビリやレクリエーションに参加したりできるよう、適切な看護師の配置に努めることが大切です。

看護師常駐の必要がないケース

デイサービスには看護師の配置が義務付けられていますが、以下の条件を満たすと、「看護職員の配置がある」とみなされます。

病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により、看護職員が指定通所介護事業所の営業日ごとに利用者の健康状態の確認を行い、病院、診療所、訪問看護ステーションと指定通所介護事業所が提供時間帯を通じて密接かつ適切な連携を図っている場合には、看護職員が確保されているものとする。

※なお、「密接かつ適切な連携」とは、指定通所介護事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などを確保することである。

(参照元 厚生労働省|指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について

デイサービスに看護師が常駐していたほうが利用者の安心につながったり、緊急時の対応を速やかに行ったりできますが、それが難しい場合には、近隣の医療機関や訪問看護ステーションと連携し、看護師の人員体制を整えましょう。

デイサービスにおける看護師の役割

デイサービスにおける看護師の役割は、主に3つです。

日々の健康管理

医師を配置しないデイサービスにとって、利用者の健康管理は看護師の重要な仕事です。
デイサービスの利用者は、基本的に体調が安定しています。しかしながら、高血圧や糖尿病などの持病を持っている方も多く、急に体調を崩してしまうこともあります。そのため、看護師は、体調に変化がないか、バイタルチェック(血圧・体温測定など)や会話などを通して、利用者の体調をチェックするのです。体調に異常が見られれば、介護職員・機能訓練指導員と相談し、ケアやリハビリ内容変更を相談するなどの対応を行います。

医療行為の補助

デイサービスは介護施設ですが、医療的なケアが必要となる場合も少なくありません。例えば、糖尿病を持つ利用者へのインスリン注射、尿管カテーテルの挿入、胃ろうなどです。デイサービスでは、このような医療的なケアすべてを看護師が対応しています。人口の高齢化が進む中、持病や内部疾患を持つ利用者も増えており、今後はますます医療専門職としての看護師の存在が重要になるでしょう。
なお、平成17年に厚生労働省は「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」を出し、介護現場において“原則として医行為(医療行為)とは判断されないもの”を明示しています。以下の行為に関しては、医師の指示がなくても看護師や介護職員が行えます。

・電子体温計・水銀体温計により脇の下で体温を計測すること、耳式電子体温計により耳(外耳道)で体温を測定すること

・自動血圧測定器により血圧を測定すること

・パルスオキシメーターを装着すること

・軽微な切り傷・すり傷・やけど等について、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること(汚物で汚れたガーゼの交換を含む。)

・爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切ること、および爪ヤスリでやすりがけすること

・重度の歯周病等がない場合の日常的な口腔内の刷掃(さっそう)・清拭において、歯ブラシや綿棒または巻き綿子などを用いて、歯、口腔粘膜、舌に付着している汚れを取り除き、清潔にすること

・耳垢を除去すること

・ストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること(肌に接着したパウチの取り替えを除く)

・自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持などを行うこと

・市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器(※)を用いて浣腸すること

(※挿入部の長さが5から6センチメートル程度以内、グリセリン濃度50%、成人用の場合で40グラム程度以下の容量のもの)

(参照元 厚生労働省|医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)

ケア・レクリエーションのサポート

デイサービスの看護師は、食事の介助や口腔ケア、排泄の介助といったケアのサポートも行います。サポートするケアの内容、頻度などは事業所の方針によりさまざまです。また、介護職員を中心に行われるレクリエーションに参加したり、送迎業務を行ったりするケースもあります。
医療的なケアに留まらず、利用者がデイサービスを安全に、快適に利用できるよう全般的にサポートするのがデイサービスの看護師の特徴です。

看護師は機能訓練指導員との兼務が可能

機能訓練指導員は、利用者の生活機能の維持・改善を目的に機能訓練を計画・実施する専門職です。デイサービスでは機能訓練指導員を最低1名以上配置することが義務付けられています。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・一定の実務経験のあるはり師・きゅう師のいずれかの資格を所持していると機能訓練指導員に充当することが可能です。また、「シフト上で看護師として勤務していない」時間帯であれば、看護師と機能訓練指導員を兼務することが認められています。
しかしながら、デイサービスとして機能訓練やリハビリの体制を強化していくのなら、機能訓練指導員として理学療法士・作業療法士を採用することをおすすめします。それと言うのも、看護師よりも理学療法士・作業療法士のほうが、運動機能や生活動作の評価・訓練に関する知識・経験豊かなケースが多いからです。
看護師と機能訓練指導員の兼務は可能ですが、どのような職種を機能訓練指導員に充当するかは、デイサービスの経営方針をよく考えた上で決定しましょう。

利用者の健康管理からケア・リハビリまでを担うデイサービス看護師

デイサービスの看護師は、日々の健康管理をはじめ多岐にわたる業務を行っています。医療的なケアはもちろんですが、日常生活の介助を行ったり、介護職員や機能訓練指導員と連携を図ったり、フレキシブルな立ちまわりが求められる専門職です。
デイサービスの人員配置基準では、1名以上の看護師配置が必要です。それに加え、多岐にわたる業務を適切にこなしていくには、医療・介護についてある程度の経験がある看護師の配置が望ましいでしょう。
利用者・家族としては、頼れる医療系専門職がいるとそれだけで心強いものです。安心してサービスが利用できるよう、自事業所の実情に合った人材配置をしていきましょう。

ケアの質向上と現場の働きやすさのために

デイサービス業界では、利用者の自立支援・重度化防止を目指した質の高いサービス提供とともに、人材の確保・生産性の向上といった課題が山積しています。事業者には、利用者にも介護従事者にも選ばれるより良い環境づくりが求められています。
しかしながら、デイサービスの業務は、日々の記録から利用者へのケア・送迎など業務量が多く、煩雑です。また、3年ごとに介護保険制度が改定されるため、それに合わせて体制を変えていく必要もあります。利用者やスタッフのために環境を整えたくても、課題が多く悩まれている方も多いのではないでしょうか。
弊社では、デイサービス向けに介護ソフト「はやまる」を提供しています。介護保険請求に加え、日々の記録・計画書作成・連絡帳・送迎管理・勤怠管理・売上予測管理など、デイサービスの業務全般をカバーする機能を搭載しています。「はやまる」を導入することで、デイサービスの業務全般を効率化でき、日々のケアに集中しやすくなるとともに、現場の働きやすさを向上することが可能です。
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プロフィール

田口 昇平

作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級/取材ライター

作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や介護施設などに勤務。

2018年よりフリーライターに転身。医療介護従事者への取材をしながら、現場の業務改善や労働環境づくりなど幅広いテーマで執筆。