【令和6年度介護報酬改定】通所介護関連の改定についてまとめ③

お役立ち情報

令和6年4月に実施される介護報酬改定。時期が近づき、改定の全容が明らかになってきました。1月22日に行われた社会保障審議会・介護給付費分科会では、各介護サービスにおける単位数や要件の内容が示されています。
通所系サービスに関しては、これまで「入浴介助加算の見直し」や「送迎の取扱い」といったテーマが議論されてきました。どのような方針が示されたのか。介護報酬改定の最新情報として、介護給付費分科会の資料をもとに、通所系サービスに関する単位数・加算要件の変更についてお伝えします。

基本報酬はわずかにアップ

令和6年度改定では、介護報酬が介護サービス全体で+1.59%の引き上げとなります。これは、介護現場で働く人たちの処遇改善が目的です。
+1.59%のうち、介護職員の処遇改善として+0.98%分を充当。残り+0.61%分を、介護職員以外の処遇改善を図る財源として基本報酬に振り分けます。
基本報酬の引き上げとなったのは、訪問看護や特別養護老人ホーム・介護老人保健施設等です。一方で人材不足が深刻とされる訪問介護では、基本報酬が引き下げとなりました。
通所介護においては、基本報酬がわずかにアップします。7時間以上8時間未満のサービスを提供する場合、通常規模型・大規模型Ⅰ・大規模型Ⅱともに、1回あたり3~5単位程度の引き上げです。

(参照元 社会保障審議会・介護給付費分科会|令和6年度介護報酬改定における改定事項について

例えば、通常規模型の通所介護に週2回(月8回)通う要介護2の利用者では、週8単位(月32単位)の引き上げとなります。
利用者数が多かったり、中重度の利用者割合が高かったりする事業所では、人件費に還元できる程度の売上アップが期待できるでしょう。一方で、小規模・軽度の利用者割合が高い事業所ほど、基本報酬アップの影響が小さいと言えます。

単位数・要件変更等が見直された5つの事柄

通所介護では、基本報酬のほかに、加算の単位数・要件等が見直されます。令和6年度改定で見直される事柄は5つです。

通所介護等における入浴介助加算の見直し

入浴介助加算は、現行通り「(Ⅰ)40単位/日」「(Ⅱ)55単位/日」と単位数に変更ありません。一方で、(Ⅰ)・(Ⅱ)ともに算定要件が追加されています。
入浴介助加算(Ⅰ)では、入浴介助に関わる職員に対し入浴介助に関する研修等の実施を、算定要件に加えられました。(Ⅱ)では、医師等の指示のもと情報通信機器等を活用して状況把握を行うとともに、医師等が評価・助言する場合において算定可能となりました。

(参照元 社会保障審議会・介護給付費分科会|令和6年度介護報酬改定における改定事項について

管理者として注意したいのは、入浴介助加算(Ⅰ)の研修等の実施についてです。
「入浴」は動きが複雑なこと、浴室内で滑りやすいこと等からADLの中でも難易度の高い動作です。当然、介助量も多くなりやすく、職員の業務負担も大きくなる傾向にあります。
闇雲に研修を行っても、それ自体が現場の負担を増大させてしまうとも限りません。そうした事態を防ぐためにも、機能訓練指導員・介護福祉士等の専門職が介入しながら、動作や介助のポイントを押さえた実践的な研修を行うことが重要です。

科学的介護推進体制加算の見直し

科学的介護推進体制加算(LIFE加算)も単位数に変更ありません。LIFE加算では、質の高い情報収集・分析とデータ入力の負担軽減、それらによる科学的介護推進の観点から、以下の見直しが行われます。

(参照元 社会保障審議会・介護給付費分科会|令和6年度介護報酬改定における改定事項について

注意点は、LIFEへのデータ提出頻度がこれまでの「少なくとも6か月に1回」から、「少なくとも3か月に1回」に変更されたことです。
「同一の利用者に複数の加算を算定する場合に、一定の条件下でデータ提出のタイミングを統一できる」と現場としては利便性が改善した点もありますが、提出頻度がアップしたことによる評価・提出もれがないよう注意が必要です。

アウトカム評価の充実のためのADL維持等加算の見直し

アウトカム評価充実を目的に、通所介護ではADL維持等加算の算定要件が見直されました。ADL維持等加算(Ⅱ)の算定要件である「ADL利得が2以上」が「ADL利得が3以上」となり、厳格化された形です。

(参照元 社会保障審議会・介護給付費分科会|令和6年度介護報酬改定における改定事項について

通所系サービスにおける「介護職員等処遇改善加算」の加算率は、以下の通りです。

(参照元 社会保障審議会・介護給付費分科会|令和6年度介護報酬改定における改定事項について

「介護職員等処遇改善加算」の算定要件としては、職員の経験・技能、職場環境の改善、昇給をはじめとする処遇改善等が組み込まれています。

国としては、介護現場で働く方にとって令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへとつなげていく方針です。
いずれにしても、介護現場においても、一人ひとりの職員が無理なく継続して働きやすい体制づくりが求められています。

通所系サービスにおける送迎に係る取扱いの明確化

兼ねてより挙がっていた「送迎の効率化」については、居住実態のある場所からの送迎や他事業所の利用者・障害福祉サービの利用者との同乗可という形で、取扱いが明確化されました。

(参照元 社会保障審議会・介護給付費分科会|令和6年度介護報酬改定における改定事項について

うまく運用できれば、ドライバー不足を補うことができるでしょう。
とはいえ、過密なスケジュールが原因で送迎中に事故を起こすケースも少なくありません。他サービス事業所の利用者との同乗等、イレギュラーな対応は現場の混乱を招き、事故やインシデントにつながる可能性も高いです。
送迎業務を変更する場合は、現場の状況を十分把握し、無理のない範囲で効率化していきましょう。

令和6年度 介護報酬改定に向けた準備を

今回は、令和6年1月22日に行われた社会保障審議会・介護給付費分科会の資料をもとに、次期改定で見直される通所系サービスの単位・算定要件についてお伝えしました。
加算要件の追加や評価データの提出頻度アップ等、事業所として、サービスの提供方法から業務のやり方まで変更が必要になる事柄も多々ありました。
自事業所の体制を整理しながら、改定内容に則したサービスが提供できるよう、しっかりと準備していきましょう。

 

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