デイサービス(通所介護)事業者が利用できる補助金・助成金まとめ

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デイサービス(通所介護)運営にあたり、経営者を悩ませるのが「資金調達」の問題です。『ICT機器を導入したい』『待遇を良くしたい』『採用を強化したい』等、事業所の体制をブラッシュアップするにはそのための資金が必要です。
そこで活用したいのが、国や地方自治体が設けている補助金・助成金制度です。例えば、「ICT導入補助金」では、介護ソフトやタブレット端末等の導入費用を調達することが可能です。
ここでは、デイサービス事業者が利用できる補助金・助成金をまとめました。ICT化や働き方改革、キャリア支援、採用強化をご検討されているのであれば、補助金・助成金を活用してみてはいかがでしょうか。

デイサービス(通所介護)事業者が利用できる補助金・助成金

デイサービス事業者が利用できる補助金・助成金について、支給要件や支給額をひとつずつ紹介します。

IT導入補助金・ICT導入支援事業補助金

「IT導入補助金」は、企業における経営課題の解決を目指し、ITツールの導入を支援する補助金です。経済産業省管轄の4大補助金と言われ、一般企業では広く活用されています。一方の「ICT導入支援事業補助金」は、ICT活用による介護事業所の業務効率化・負担軽減を目的とした事業で、厚生労働省が管轄しています。
どちらも、介護ソフトやタブレット端末等が補助対象となっているので、現場のICT化を検討されているのならぜひ活用したい補助金です。

 

IT導入補助金(通常枠)
補助対象 介護ソフト、パソコン・タブレット等
補助率 1/2以内
補助金額 5450万円

 

ICT導入支援事業補助金
補助対象 介護ソフト、タブレット端末・インカム等の情報端末、wi-fiルーター等
補助率 1/23/4
補助金額 事業所規模に応じて100260万円

(※都道府県ごとに実施状況が異なります)

 

(参照元 IT導入補助金2024事務局ホームページ厚生労働省|介護分野におけるICTの活用について

 

業務改善助成金

業務改善助成金は、「①事業所内で最も低い労働者の賃金を引き上げる」とともに、「②生産性向上に役立つ設備投資等を行った」場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度です。デイサービスでは、送迎で使用するリフトまたはスロープ付き福祉車両、ウォーターベッド型マッサージ器等の導入に活用されています。

 

業務改善助成金
助成対象 福祉車両、電動ベッド、ウォーターベッド等
助成率 最低賃金900円未満:9/10

最低賃金900円以上950円未満:4/59/10

最低賃金950円以上:3/44/5

※( )内は、生産性要件を満たした事業所の場合

助成金額 30600万円

 

助成金額は、賃金を引き上げる労働者数で変わってきます。例えば、最低賃金が950円の事業所で最低賃金を30円アップする場合、賃金を引き上げる労働者数は次のようにカウントされます。

 

(参照元 厚生労働省|令和6年度業務改善助成金のご案内

 

賃金を引き上げる労働者が増えるほど助成金額も多くなりますが、同時に、人件費が上がることに注意が必要です。

人件費を上げた分を設備投資することで回収できるか、バランスを考えながら活用を検討しましょう。

 

(参照元 厚生労働省|業務改善助成金業種別事例集(医療・福祉編)

 

両立支援等助成金

両立支援等助成金は、子育てや介護等を行う労働者が働き続けるために、就業環境整備に取り組んだ事業所に対し助成する制度です。就業環境整備の目的に応じ、6つのコースが設けられています。
介護現場でも、個々のライフスタイルに合わせた環境作りが求められています。仕事とプライベートが両立しやすい体制を構築する足掛かりとして、各種助成金を活用するのもひとつです。

 

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
支給要件 <第1種>男性労働者の育児休業取得

男性が育児休業を取得しやすい就業環境整備に取り組み、子どもの出生後8週間以内に連続5日間以上の育児休業を取得した場合

<第2種>男性の育児休業取得率の上昇等

第1種を受給した事業者において、3年以内に育児休業取得率が30%以上上昇した場合

支給額 <第1種>男性労働者の育児休業取得

・1人目(連続5日以上の育児休業、雇用環境整備措置を2つ以上実施):20万円 ★措置を4つ以上実施した場合、30万円に増額

・2人目(連続10日以上の育児休業、雇用環境整備措置を3つ以上実施):10万円

・3人目(連続14日以上の育児休業、雇用環境整備措置を4つ以上実施):10万円

<第2種>男性の育児休業取得率の上昇等

第1種(1人目)の受給後、育児休業取得率(%)が

・1年以内に30ポイント以上上昇:60万円

・2年以内に30ポイント以上上昇等:40万円

・3年以内に30ポイント以上上昇等:20万円

プラチナくるみん認定事業主の支給額を15万円加算

第1種(1人目)の育児休業終了前の認定に限る

 

育児休業等支援コース
支給要件 <育休取得時>

育休復帰支援プランを作成し、プランに基づき育児休業を取得させた場合

<職場復帰時>

育休取得時の対象労働者について、育休終了後に職場復帰させた場合

<業務代替支援>

育休取得者の業務を代替する労働者を確保し、かつ育休取得者を育休前の原職等に復帰させた場合

支給額 <育休取得時>

30万円

<職場復帰時>

30万円

<業務代替支援>

1050万円

<育児休業等に関する情報公表加算>

2万円(上記3つのいずれかの助成金に、1回に限り加算支給。)

 

育休中等業務代替支援コース
支給要件 <手当支給等(育児休業)>

育児休業取得者の業務を代替する周囲の労働者に対し、手当支給等の取組を行った場合

<手当支給等(短時間勤務)>

育児のための短時間勤務制度を利用する労働者の業務を代替する周囲の労働者に対し、手当支給等の取組を行った場合

<新規雇用(育児休業)>

育児休業取得者の業務を代替する労働者を新規雇用(派遣受入れ含む)により確保した場合

支給額 <手当支給等(育児休業)>

以下12の合計額を支給。

1.業務体制整備経費:5万円

※育児休業期間1か月未満の場合は2万円

2.業務代替手当:業務代替者に支給した手当の総額の3/4 <プラチナくるみん認定事業主は4/5

10万円/月が助成金の上限

※代替期間12か月分まで対象

<手当支給等(短時間勤務)>

以下12の合計額を支給。

.業務体制整備経費:2万円

.業務代替手当:業務代替者に支給した手当の総額の3/4

3万円/月が助成金の上限

子が3歳になるまでの期間が対象

<新規雇用(育児休業)>

「育児休業期間中に業務代替した期間」に応じて 以下の額を支給。

・7日以上14日未満 :9万円 <11万円>

14日以上1か月未満 :13.5万円<16.5万円>

・1か月以上3か月未満:27万円 <33万円>

・3か月以上6か月未満:45万円 <55万円>

・6か月以上 :67.5万円<82.5万円>

<>内の額は、プラチナくるみん認定事業主への割増支給額。

<有期雇用労働者加算>

対象育児休業取得者/短時間勤務制度利用者が有期雇用労働者の場合に、上記の助成金に加算支給。

<育児休業等に関する情報公表加算>

上記3つのいずれかの助成金に、1回に限り加算支給。

 

柔軟な働き方選択制度等支援コース
支給要件 育児を行う労働者の柔軟な働き方を選択できる制度(始業終業時刻の変更等/育児のためのテレワーク等/短時間勤務制度/保育サービスの手配・費用補助制度/子の養育のための有給休暇から2つ以上)を導入する

「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」により、柔軟な働き方に関する制度の利用および利用後のキャリア形成を円滑にすることを支援する方針を社内周知する

助成金の対象労働者(制度利用者)と面談を実施し、「面談シート」に記録する

面談結果を踏まえ、制度利用者の「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」を作成する

開始から6か月間で柔軟な働き方を可能とする制度を一定基準以上利用

支給額 柔軟な働き方を選択できる制度のうち、

2つ導入し対象労働者が制度を利用: 20万円

3つ以上導入し対象労働者が制度を利用: 25万円

育児休業等に関する情報公表加算(1回限り、2万円)の適用あり。

 

介護離職防止支援コース
支給要件 <介護休業>

介護支援プランに基づき、介護休業取得者が出た場合又は職場復帰した者が出た場合

<介護両立支援制度>介護支援プランに基づき、仕事と介護との両立に資する制度利用者が出た場合

<業務代替支援加算>

介護休業の対象となる介護休業取得者について、代替要員の新規雇用(派遣を含む)又は業務を代替する労働者への手当支給等を行った場合

<個別周知・環境整備加算>

介護休業又は介護両立支援制度の対象となる介護を申し出た労働者に対する個別周知及び仕事と介護を両立しやすい雇用環境整備を行った場合

支給額 休業取得時・職場復帰時:30万円

 

不妊治療両立支援コース
支給要件 ・労働者が不妊治療休暇、両立支援制度を利用しやすい職場風土の取組として、企業トップが制度の利用促進についての方針を全労働者に周知していること。

・不妊治療休暇、両立支援制度について、労働協約又は就業規則に規定していること。また、制度利用に係る手続や賃金の取扱い等について、労働協約又は就業規則に規定し、不妊治療を受ける対象労働者の制度利用においても、その規定する範囲内で運用していること。

支給額 ・環境整備、休暇の取得等:30万円

・長期休暇の加算:30万円

 

(参照元 厚生労働省|両立支援等助成金支給申請の手引き パンフレット(2023年度)両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)令和6年4月からの変更点に係るリーフレット両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)

 

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

働き方改革推進支援助成金は、生産性を向上させ、労働時間の削減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む事業所を支援する制度です。時間外・休日労働時間数の縮減等、定められた成果目標の達成状況に応じて、人材確保や設備導入等に要した経費の一部が助成されます。

 

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
助成対象となる取組 以下、いずれか1つ以上を実施。

①労務管理担当者に対する研修 ※1

②労働者に対する研修 ※1、周知・啓発

③外部専門家によるコンサルティング

④就業規則・労使協定等の作成・変更

⑤人材確保に向けた取り組み

⑥労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・

更新 ※2

⑦ 労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新 ※2

※1研修には、勤務間インターバル制度に関するもの及び業務研修も含みます。

※2原則として、パソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

助成額 「成果目標」の達成状況に応じて、助成対象となる取組の実施に要した経費の一部を支給(最大730万円)。

 

例えば、スタッフの出勤・退勤時間を手書きやタイムカードから専用ソフトでデジタル管理し、業務量を平準化するといったように。「働き方改革推進支援助成金」は、ルーチン業務の負担を軽減し、働きやすい職場をつくるために活用できます。

 

(参照元 厚生労働省|「働き方改革推進支援助成金」 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内

 

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者等(パート、契約社員、派遣社員等)のキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取組みを行った事業者に助成する制度です。正社員化支援(正社員化コース)、処遇改善支援(賃金規定等改定コース・賃金規定等共通化コース・賞与・退職金制度導入コース・社会保険適用時処遇改善コース)の5つがあります。

 

キャリアアップ助成金(正社員化コース)
支給要件 キャリアアップ計画の作成・提出、正社員化制度の就業規則等での規定とともに、有期雇用労働者等を正社員化した場合
支給額 以下、一人あたりの助成額

有期雇用労働者:80万円

無期雇用労働者:40万円

※中小企業の場合

※上記のほか、条件に応じて加算あり。

 

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)
支給要件 有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用させた場合
支給額 以下、1人あたりの助成額

3%以上5%未満:5万円

5%以上:65,000

※中小企業の場合

※上記のほか、条件に応じて加算あり。

 

キャリアアップ助成金(賃金規定等共通化コース)
支給要件 就業規則または労働協約の定めるところにより、すべての有期雇用労働者等に、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合
支給額 以下、1事業所あたりの助成額

60万円

※中小企業の場合

 

キャリアアップ助成金(賞与・退職金制度導入コース)
支給要件 就業規則または労働協約の定めるところにより、すべての有期雇用労働者等に 賞与・退職金制度を新設し、支給または積立てを実施した場合
支給額 以下、1事業所あたりの助成額

賞与または退職金制度いずれかを導入:40万円

賞与及び退職金制度を同時に導入:568,000

※中小企業の場合

 

キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)
支給要件 短時間労働者に、以下のいずれかの取組みを講じた場合

①新たに社会保険の被保険者要件を満たし、その被保険者となった際に、賃金総額を増加させる取組み(手当支給・賃上げ・労働時間延長)を行った場合

②週の所定労働時間を4時間以上延長する等を行い、これにより当該労働者が社会保険の被保険者要件を満たし、その被保険者となった場合

支給額 以下、1人あたりの助成額

<手当等支給メニュー>

12年目の取組み:40万円

3年目の取組み:10万円

<労働時間延長メニュー>

30万円

※中小企業の場合

 

キャリアアップ助成金を受給するには就業規則等の変更が必要です。そのため、助成金をきっかけに、事業所全体の体制を再構築してみるのも良いでしょう。

ただし、介護は、業務負担等の理由から退職者が多い分野でもあります。せっかく正社員化・処遇改善しても、長く働いてもらえなければ、事業所の負担だけが大きくなってしまうとも限りません。待遇を改善しながら、一人ひとりが働きやすい環境づくりにも努めていきましょう。

 

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プロフィール

田口 昇平

作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級/取材ライター

作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や介護施設などに勤務。

2018年よりフリーライターに転身。医療介護従事者への取材をしながら、現場の業務改善や労働環境づくりなど幅広いテーマで執筆。