【令和6年度廃止】運動器機能向上加算について

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令和6年度の介護報酬改定にて、「総合事業の通所型サービス(以下、通所介護)」「通所リハビリテーション」の運動器機能向上加算が廃止されました。
これまでは1人あたり月225単位算定していた加算ですが、今後は基本報酬に包括されます。それにより基本報酬は増額されるものの、加算分の単位数には及ばず、事業者としては売上ダウンする形です。
運動器機能向上加算の廃止は経営にどう影響するのか。そして、どのような対応をとっていけばいいのか。ここでは、運動器機能向上加算の廃止が経営に及ぼす影響をお伝えするとともに、代替できる介護報酬加算を紹介します。

運動器機能向上加算の廃止と経営への影響

まずは、運動器機能向上加算について振り返ってみましょう。
「運動器機能向上加算」は、要支援者を対象に介護予防サービスを提供した場合に算定できる加算です。単位数は1人あたり月225単位を算定可能。理学療法士等の配置や運動器機能向上計画の立案等を算定要件とし、要介護状態にならず自立した生活が送れるよう、支援することを目的としています。

 

令和6年度以前は、運動器機能向上サービスを提供することで、その分を売上に計上することができました。それが、令和6年度以降は“マルメ”とされ、売上に計上できなくなったのです。

一方、運動器機能向上加算の廃止に伴い、通所介護の基本報酬が以下のように増額されました。

 

(参照元 厚生労働省|介護保険最新情報Vol.1210介護予防・日常生活支援総合事業のうち第一号事業に係る厚生労働大臣が定める基準案について

 

ご覧の通り、1か月あたり要支援1で126単位、要支援2で193単位の増額となりましたが、運動器機能向上加算の単位数には及びません。
例えば、もともと運動器機能向上加算を算定していた要支援1の利用者であれば、1か月あたり99単位(990円)、年間1,188単位(11,880円)の減収です。
事業者としては、加算廃止による影響は非常に大きいでしょう。経営的な観点からすると、減収分を補填できる何らかの対策を検討していくことが必要です。

自治体ごとに対応方法が異なる

運動器機能向上加算の廃止に対し、自治体によっては独自の加算を設ける等の対応を行っています。それというのも、厚生労働省が次のような内容を通知しているからです。

 

通所型サービス費について、令和6年度改定により運動器機能向上加算が廃止され、 基本報酬に包括されたが、地域全体で運動器機能向上の推進を図る観点から、改正前後の単位数の差と廃止される前の運動器機能向上加算の単位数を踏まえ、基本報酬に係る単位数を適切な範囲で引き上げることも可能である。 ~中略~ また、従前相当サービス以外の事業に係る第一号事業支給費の額については、報酬告示に定める単位数の変更、報酬告示に定めのない加算や減算の設定等、市町村による柔軟な設定が可能である。

(引用 厚生労働省|介護保険最新情報Vol.1222「介護保険法施行規則第 140 条の 63 の2第1項第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準の制定に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について

 

要するに、「運動器機能向上加算の廃止に伴い減った単位数に関して、各自治体で独自に加算等のルールを設けて良い」ということです。
例えば、東京都西東京市では、運動器機能向上加算が廃止となった救済措置として、市独自に「運動器機能サービス強化加算」を新設しています。これは、運動器機能向上加算の廃止で減った単位数を市独自の加算で補填するというものです。(西東京市の)事業者からすると、従来と同じように売上を計上でき、加算廃止による減収を回避できることになります。
このように自治体によっては独自の対策を講じているケースもありますので、まずは管轄の自治体にアクセスし、加算廃止の対応方法を確認してみましょう。

運動器機能向上加算に代替できる介護報酬加算

運動器機能向上加算の廃止による減収を回避するためには、別の介護報酬加算を算定するのもひとつです。事業所体制を見直す必要も出てくるかと思いますが、サービスを強化すれば売上をアップできたり、ケアの質を高められたりメリットも多いです。

一体的サービス提供加算

「一体的サービス提供加算」は、運動器機能向上サービスに加え、栄養改善サービス・口腔機能向上サービスを提供することで算定できる加算です。もともと運動器・口腔機能・栄養改善の3つから選択してサービス提供する「選択的サービス複数実施加算」がありましたが、こちらは令和6年度報酬改定で廃止となり、「一体的サービス提供加算」に変更となりました。

(参照元 厚生労働省|介護保険最新情報Vol.1210介護予防・日常生活支援総合事業のうち第一号事業に係る厚生労働大臣が定める基準案について

 

本加算は、1か月あたり480単位を算定することが可能です。

近年、医療と同じように、介護業界でも『リハビリ』『栄養』『口腔機能』が重要視されています。この3つを一体的に維持・改善することで、要支援者や要介護者の自立支援・重度化防止につながると期待されているからです。

 

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プロフィール

田口 昇平

作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級/取材ライター

作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や介護施設などに勤務。

2018年よりフリーライターに転身。医療介護従事者への取材をしながら、現場の業務改善や労働環境づくりなど幅広いテーマで執筆。