【令和6年度最新】個別機能訓練加算を算定するには?算定要件と必要書類を紹介

お役立ち情報

自立支援・重度化防止の取組を評価する個別機能訓練加算。算定するには、要件を満たした上で書類を作成・提出する必要があります。
しかしながら、実際に算定するとなると、書類の種類や作成方法等がわかりにくいものです。ここでは、個別機能訓練加算の算定を目指すデイサービス事業者向けに、算定に必要な書類一式を紹介します。

個別機能訓練加算についておさらい

個別機能訓練加算とは、利用者の生活機能の維持・改善に向け、積極的な機能訓練を行うことを評価する加算です。単位数・算定要件別に、個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロと個別機能訓練加算(Ⅱ)があります。
令和6年度報酬改定においては、その単位数・算定要件が一部変更されています。具体的には、個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの「① 単位数が85単位」に、「② 機能訓練指導員の配置時間の定めなし」になりました。
以下に、令和6年度報酬改定を踏まえた単位数・算定要件をお示ししました。デイサービスにおける個別機能訓練加算のおさらいとしてご活用ください。

単位数

・個別機能訓練加算(Ⅰ)イ:56単位/日
・個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ:76単位/日
・個別機能訓練加算(Ⅱ):20単位/日

個別機能訓練加算(Ⅱ)は、個別機能訓練加算(Ⅰ)イ または (Ⅰ)ロに上乗せして算定可能です。

算定要件

算定要件の概要は、次の通りです。

①個別機能訓練加算(Ⅰ)

個別機能訓練加算(Ⅰ)イ

個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ

機能訓練指導員の配置

専従で1名以上

(配置時間の定めなし)

専従で2名以上

配置時間の定めなし)

居宅訪問・ニーズ把握

自事業所の機能訓練指導員等が利用者宅を訪問。ニーズと居宅での生活状況を把握すること。

計画の作成

ニーズと居宅での生活状況を参考に、多職種共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成すること。

訓練の対象

個別または5人程度以下の小グループで行うこと。

訓練の実施者

機能訓練指導員が直接実施すること

(機能訓練指導員が直接実施していれば、他の職種が訓練に関与することは問題ない)

訓練の内容

利用者の状況に応じ、身体・生活機能の向上を目的とするメニューを柔軟に設定すること。訓練メニューは複数準備し、生活意欲が増進されるよう利用者を援助すること。

進捗状況の評価

3か月に1回以上実施すること。

利用者宅を訪問し、居宅での生活状況を確認。利用者または家族に対して個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し、必要に応じて計画の見直し等を行うこと。

個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロの違いは、機能訓練指導員の配置人数です。個別機能訓練加算(Ⅰ)ロについては、機能訓練指導員が1名しか確保できない日がある場合、その日は個別機能訓練加算(Ⅰ)イを算定する形で対応可能です。

②個別機能訓練加算(Ⅱ)

個別機能訓練加算(

LIFE活用 加算(Ⅰ)に加え、個別機能訓練計画等の内容を厚生労働省に提出し、フィードバックを受けていること。

個別機能訓練加算(Ⅱ)は、(Ⅰ)の算定要件に加え、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出・フィードバック活用をすることで算定できます。

個別機能訓練加算の算定要件の詳細は、以下の資料でご確認いただけます。

厚生労働省|令和3年度介護報酬改定の主な事項について

また、令和6年度報酬改定における個別機能訓練加算の見直しについては、以下の資料に掲載されています。

厚生労働省|令和6年度介護報酬改定における改定事項について

いずれも、個別機能訓練加算の単位数・算定要件のおさらいとしてご参考ください。

個別機能訓練加算の算定に必要な書類

個別機能訓練加算の算定に必要な書類は、①自治体への届出と、②計画書・チェックシート・実施記録の2種類があります。

自治体への届出

自治体に提出する書類には、次のようなものがあります。

・介護給付費算定に係る体制等に関する届出書(加算届)
・介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
・従業員の勤務体制および勤務形態一覧表
・機能訓練指導員の資格証(写し)

「届出書類」は、自治体ごとに若干変わってきます。そのため、どのような書類を準備すべきか、管轄自治体のホームページ等で詳細を確認してみてください。

計画書・チェックシート・実施記録

個別機能訓練加算を算定するには、「個別機能訓練計画書」が必要です。これは、利用者ごとに目標や訓練プログラムを記載した書類です。個別機能訓練計画書は、居宅訪問で把握した利用者のニーズ・生活状況を参考に、多職種共同で作成します。
また、個別機能訓練計画書の作成にあたり、厚生労働省が活用を推奨しているのが2種類のチェックシートです。ひとつは、利用者の居宅におけるADL・IADL状況を評価する「生活機能チェックシート」。もうひとつは、利用者の興味や関心ごとを知るための「興味・関心チェックシート」になります。
個別機能訓練計画書は、2種類のチェックシートで利用者の生活機能や興味関心をチェックしながら作成します。なお、個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定には、「生活機能チェックシート」の提出が必須です。

次項からは、計画書・チェックシート・実施記録について解説します。

個別機能訓練計画書

「個別機能訓練計画書」は、個々の利用者に合わせ、個別機能訓練の目標やプログラムを設定するための書類です。
個別機能訓練計画書の作成にあたっては、まずは居宅訪問し、利用者のニーズや心身・生活状況、社会参加状況等を確認します。ここで登場するのが、後述する「生活機能チェックシート」「興味・関心チェックシート」です。2つのチェックシートを活用し、利用者の全体像を捉えた上で目標設定・プログラム立案することが大切です。
個別機能訓練計画書は、居宅訪問で得られた情報を参考に、機能訓練指導員をはじめ多職種協働で計画書を作成します。
ここまでの流れを整理すると、以下のようになります。

【個別機能訓練計画書を作成する流れ】
①居宅訪問する
※居宅訪問する職員は、機能訓練指導員に限らず、介護職員・生活相談員・看護職員等、どの職種でも問題ありません。
②各種チェックシートを活用し、利用者のニーズや生活状況等を確認する
③得られた情報を参考に多職種協働で作成する

個別機能訓練計画書を作成した後は、利用者・ご家族に内容を説明し、了承が得られたらサービス提供開始となります。

作成のポイントは、具体的な目標・訓練項目を設定すること

個別機能訓練計画書は、【Ⅰ 利用者の基本情報】【Ⅱ 個別機能訓練の目標・個別機能訓練項目の設定】【Ⅲ 個別機能訓練実施後の対応】の3つの大項目で構成されます。作成のポイントは、目標と訓練項目を可能な限り具体的でわかりやすく設定することです。これは、目標や訓練項目があいまいであると、利用者のモチベーションがあがらなかったり、訓練の効果判定ができなかったりするからです。
「長期目標」は、心身機能・活動・社会参加をバランスよく含めて設定します。特に活動・参加は、生活の変化が見てとれる内容であることが大切です。単に、立つ・歩く等ではなく、利用者・ご家族が変化を実感できる目標を設定しましょう。
「短期目標」は、長期目標の達成に必要な行為を細分化し、設定します。例えば、長期目標が『家族と一緒に歩行器で散歩できる』であれば、『上がりかまちを昇降できる』『段差を昇降できる』『歩行器で屋外歩行できる』といった事柄が、短期目標として考えられます。短期目標の達成を積み上げていくことで、長期目標が達成されるといったように。両者は、整合性がとれていることが重要です。

以下に、長期・短期目標の一例をご提示いたしました。目標設定を考える際の参考として、ご活用ください。

「訓練項目」は、長期・短期目標を達成するために必要なプログラムを設定します。上記の目標であれば、『下肢筋力や耐久性を向上する訓練』『段差昇降の訓練』『歩行器で屋外を歩行する訓練』『買い物の訓練』などが考えられます。訓練項目ごとに、頻度や時間などを検討し、該当箇所に記入します。

3か月に1回、更新が必要

個別機能訓練計画書は、3か月に1回以上の頻度で更新が必要です。3か月ごとに居宅訪問し、初回同様、利用者の生活状況等を確認。利用者やご家族に個別機能訓練の実施状況や効果等について説明します。また、担当のケアマネジャーにも適宜報告・相談しましょう。
目標や訓練項目に見直しが必要であれば、更新時に内容を変更します。

個別機能訓練計画書の詳しい運用方法は、以下の資料に掲載されていますので、こちらもご確認ください。
厚生労働省|介護保険最新情報Vol.1217

つづいて、個別機能訓練計画書の作成に必要となる「生活機能チェックシート」について紹介します。

生活機能チェックシート

「生活機能チェックシート」は、利用者の居宅における生活能力を確認する書類です。主に【ADL】【IADL】【基本動作】の3項目で構成されます。一項目ずつチェックしていくことで利用者の全体像を把握でき、個別機能訓練計画の作成に役立てることができます。なお、個別機能訓練加算(Ⅱ)ではLIFE提出に必須のシートです。
生活機能チェックシートは、ADLから基本動作まで、各項目を2~4段階で評価します。ADLはできる動作(頑張ればできる動作)、IADL・基本動作はしている動作(普段の生活で行っている動作)を評価するのがポイントです。また、各項目の状況を確認するとともに、日常生活における課題の有無を記入します。
ここで抽出された生活課題が、個別機能訓練計画書の目標や訓練項目にリンクしてくるのです。

生活機能チェックシートを活用し、個別機能訓練計画書を作成する流れを整理すると、次のようになります。

【生活機能チェックシートを活用し、個別機能訓練計画書を作成する流れ】
①生活機能チェックシートで、利用者の生活状況を確認する
②どの項目に課題があるか、どのような課題があるか、生活課題を抽出する
③生活課題を踏まえて、利用者が達成すべき目標を設定する
④目標達成に必要な訓練項目を設定する

(参照元 厚生労働省|ケアの質の向上に向けた 科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き

評価は、どの職種でも可能

生活機能チェックシートは、評価する職種に決まりはありません。厚生労働省は、「介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)」の中で、居宅訪問や個別機能訓練計画の作成について、次のように回答しています。

❝個別機能訓練計画については、多職種共同で作成する必要がある。このため、個別機能訓練計画作成に関わる職員であれば、職種にかかわらず計画作成や居宅訪問を行うことができるため、機能訓練指導員以外がこれらを行っても差し支えない。❞

上記のように、生活機能チェックシートは、居宅訪問を担当した職員が対応して問題ありません。

実施頻度は、3か月に1回

「生活機能チェックシート」は、個別機能訓練計画書の作成にあたり活用するツールです。そのため、実施頻度も、個別機能訓練計画書の作成と同じで3か月に1回以上となります。
なお、チェック(評価)する人は、初回と2回目以降で同じである必要はありません。

❝3月に1回以上、居宅を訪問し、生活状況を確認する者は、毎回必ずしも同一人物で行う必要はない”
(参照元 厚生労働省|介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)

興味・関心チェックシート

「興味・関心チェックシート」は、日常生活や社会生活を送る上で、利用者の興味あること、関心あることを調査する書類です。リストアップされた生活行為について、している・してみたい・興味があることを〇・×で回答してもらい、利用者の興味・関心を確認します。

リストにはたくさんの生活行為が並んでいますが、該当するものがない場合は、「その他( )」に追記する形で項目を増やしていきます。
興味・関心チェックシートは、提出が必要となる書類ではありません。しかしながら、厚生労働省は、個別機能訓練計画の作成にあたり興味・関心チェックシートの活用を推奨しています。

❝利用者の日常生活や社会生活等について、現在行っていることや今後行いたいこと(ニーズ・日常生活や社会生活等における役割)を把握する。これらを把握するにあたっては、興味・関心チェックシートを活用すること。またあわせて、利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割に対する家族の希望を把握する。❞
(参照元 厚生労働省|介護保険最新情報Vol.1217

興味・関心チェックシートの目的

興味・関心チェックシートの目的は、利用者のニーズを把握し、個別機能訓練計画に反映することです。
利用者の興味・関心を確認するのに、なぜ、わざわざチェックシートを使うのか?というと、居宅訪問で「何をしたいか?」急に聞かれても、多くの人はパッと希望が出てこないからです。
実は、興味・関心チェックシートは、以前から病院のリハビリ(作業療法)ではよく利用されていました。あらかじめ生活行為がリストアップされているので、患者さんは、自分のやりたいことを伝えたり、思い出したりすることができるからです。
実際に興味・関心チェックシートを使ってみると、「実は料理に興味があった」「そういえば絵を描くのが好きだった」など、利用者が自分自身も気づいていなかった興味、家族も知らなかった関心ごとに気づくこともあります。そうしたことをピックアップして、ご本人がやりがいや生きがいを感じられるよう、個別機能訓練計画に反映させていけると良いでしょう。

実施記録

個別機能訓練を行った際は、実施記録をとります。個別機能訓練加算の実施記録について、厚生労働省は次のように通知しています。

❝個別機能訓練に関する記録(個別機能訓練の目標、目標をふまえた訓練項目、訓練実施時間、個別機能訓練実施者等)は、利用者ごとに保管され、常に当該事業所の個別機能訓練従事者により閲覧が可能であるようにすること。❞
(参照元 厚生労働省|老老発 0316 第5号

実施記録をとることはもちろんですが、個別機能訓練の担当者が情報を利活用できるよう、保管方法にも注意が必要です。保管方法は、介護ソフト・クラウドをはじめ、紙面でも可能です。
実施記録には、①実施時間 ②訓練内容 ③担当者の3点を記載します。
記録上の留意点として、実施時間は「20分」ではなく、「10:00~10:20」というように実際に訓練を行った時間帯を記載しましょう。

まとめ

個別機能訓練加算の算定要件をおさらいするとともに、算定に必要な書類について解説いたしました。個別機能訓練加算の算定には、①自治体への届出、②個別機能訓練計画書・生活機能チェックシート・興味・関心チェックシートが必要です。
個別機能訓練計画書は、2つのチェックシートを活用しながら作る必要があり、作成手順がやや複雑です。算定にあたっては、現場の職員が混乱しないよう、使用方法等もしっかり周知しながら準備を進めていきましょう。

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